復刻版:わかるまでカルマ(仲良し姉弟編)
旅ブログが続いております。
石とは関係ないネタになっておりますのに
なんとアクセス数がどどん!とアップ。。。
こんな個人的な過去の旅日記ですのに、ご笑覧下さってありがとうございます。
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心配と疲労で気がつくと爆睡していた私にも、
新しい夜明けに輝くガンジス川から吹く風と聖地バラナシの鐘の音が響き渡り、
えらいこっちゃ心地よく目が覚めてしまいました
ゲストハウスの食堂に降りて行くと、ご主人と奥さんがむっとした顔で、
「とうとう一晩中、帰って来なかった。警察に捜索願を出さないといけない。。」
申し訳なさでうつ向いていると
ガンジス川に面しているバルコニーから外を見ていた日本人男性が
「あ~~~~!!いました!いました!!弟さんです!!」
ひいいいいい土左衛門でしょうかああああ!?
「ボートに乗っています!金髪女性と一緒です!」
ヽ((◎д◎ ))ゝ
慌ててバルコニーに飛び出てみると、小さなボートに揺られながら、きれいな白人女性と微笑んでる弟が!!
あははははは~~!!生きてる生きてる~~!!!
ばんざ~い!ばんざ~い!!
両手を上げて笑顔で振り返ると、オーナー夫妻の冷たい視線が。。。
一気に消沈。。。
ば~~ん~~ざ~~いナシよ(って欽ちゃんかいっ!!)
「誠にご迷惑をおかけ致しました」(ま、実際そうなんだけど)
「弟が帰ってきたら、あんたらすぐに出て行ってくれ!」
奥さんは怒り心頭のご様子。
眼のやり場に困って壁を見ると、
そこには、この町がどれだけ危険で恐ろしいかの話や、今まで被害にあった人の事、ツーリスト殺人事件簿、禁忌事項などが書かれてあるおびただしい数の張り紙が。。
これ全部読んじゃったら、どこにも行けないよ~ヽ(;´Д`)ノ
んで、了解した。
オーナー夫妻はきっと昔ひどい事件があって、すごく神経質になってるんだ。
素直でかわいい日本人ツーリスト達が、ここに泊まった以上は彼等なりに守ってやりたい親心なのだろう。
(しかし、過保護ですな)
で、ワタクシはと言うと、ちょっと長く旅してる位で生意気な図々しい女に見えたのかもしれない。
(根はかわいい土佐犬なのにぃ)
皆は宿の朝ご飯を食べている。
「あんたの分はないからね」
と、更に冷たく言い放たれた。
朝飯ないのはいいですよ。
しかし、無事で良かったねの一言もないんかい!!
ワタシ嫌われるような事なんかしたっけ?
うう~~、なんかわからんけどクッソ腹立つ~~
土佐犬に変身したいのをぐっとこらえて、荷造りしに部屋へ戻った。
居場所もないので、外でチエゾーを待っていた。
しばらくするとボートから降りて、宿に帰ってきたチエゾーにやっと再会。
「ねえちゃああああん!!」
「ちえぞおおおおお!!」
はっしと抱き合い無事にあえた事を喜んだのもつかの間、
姉弟揃って、オーナー夫妻にさんざん罵られ、怒られて、ぶち切れそーになりながら宿をあとにした。
しかし、なんだよな、この広いインドで、
無事に会えてよかったぜええええ!!
9歳くらいの子供が切り盛りしている、小さなチャイ屋で一息つきながら
再会を喜びあった。
チエゾーは、あの宿独特の雰囲気と学生寮のような共同生活に耐えられず、昨晩は別のホテルを借りて過ごしていたとのこと。
「んでは、あの金髪のおねーちゃんは何者?もしや、その女性と一緒に泊まっていたとかとか??」
「いやいや」
その金髪の女性は、
英語が話せないゆえ、到着の空港で身動きの取れない「困ったさん」になっているチエゾーを、
そのあまりの英語の出来なさに驚愕&心配して何かと手助けしてくれた親切なアメリカ人女性なのでした。
しかも、カルカッタからバラナシまで一緒に旅をしてくれたのだそうです。
「そ、それで恋なんか芽生えたりとかとか?」(バカ姉)
「とんでもない。純粋に親切で心配してくれて。本当にお世話になりっぱなしの恩人だよ。彼女がいたから無事にここまで来られたよ」
で、一緒の旅は最後の夜になるから彼女の宿泊しているホテルに部屋をとったのだと。。
(Kハウスは門限あるしね~。気になる男女の仲はなかったそうです。いやだわ奥さん)
それでは、さっそくそのアメリカ人女性にお礼を言わねばなりませぬと、会いにいきました。
快活でさわやか、なおかつ美人の彼女は、私たちが再会できた事を心から喜んでくれました。
そして、彼女も次の目的地に行かねばならず、ちょっぴり淋しいお別れとなり。。。
「ほんまにいい人っておるんや。。。」チエゾーがつぶやいた。
チエゾーもインドの旅の風にほほを撫でられたようです。
初めての海外で(それも自分で望んだ訳でなく)、困っているところを助けられてよかったね。
神様っておるよね。人って優しいよね。
そして、そして、一生懸命がんばってたら、なんとかなる!
ありがとう!金髪のおねえさん!よい旅を~~
今度は姉弟でガンジス川のボートに乗った。
インドの聖なる大河の流れに身をまかせていると、
私達の短い人生が、まるで悠久のときの流れに浮かぶ一枚の木の葉のようだ。
壮大な人類の歴史の中のほんの一瞬でしかない自分たちの存在の小ささが愛おしい。
姉弟としてこの世に生を受けて、いろんなことを共に体験しながら大人になって、
どういうわけか、今この瞬間インドの聖河でボートに揺られていると、
夢と現実が溶け合って、意識の境界線が広がっていく。
私達は何者で、どこへ行こうとしているんだろうねぇ。
小学高学年頃から、父がDV、浮気、ばくちで借金と家庭崩壊の3拍子を見事にやってのけ、
幸せだった子供時代は終わり、母子家庭(当時は珍しかったのよ)となった私達は家計を助けるため学校に行きながらずっとアルバイトをした。
早くから社会と関われたのは、今となっては良い糧だったと思う。
弟は私より小さいから、父の母に対する暴力が激しい頃はもっと辛かったろう。
夜が来ると毎日のように恐ろしい夫婦喧嘩がはじまるので、
二人でお布団にもぐってじっと息を殺してたり、止めに入って殴られたり。
ほんま地獄でした。
離婚後は暮らしぶりも急変し、助け合って生きてきた。
やりきれない思いを抱えながら
「絶対、不良にはならんとこね。大人になったらいっぱい遊ぼう」って
誓い合ったのは忘れられない。
お互い、そんな生い立ちを思い出しながら笑った。
辛かった子供時代が神の手の中でコロコロと転がされるちっぽけな出来事に思えてくる。
ダメな父親も、悲しい思い出も、河を流れていつかは海にたどり着く小さな木の葉だ。
自分たちが外国を旅するなんて、夢のまた夢だった。
貧しくて苦労もした私達が今こうして、異国の地にいられるなんて奇跡のようだもの。
インドで生きてるだけでうれしいのに、姉弟一緒にいられることが本当にうれしかった。
「やったね~~!!」ガッツポーズをとりながら
「仲良し姉弟でよかったね!」
その後、チエゾーはミイラ取りがミイラになり、
仲良し姉弟インド珍道中となるのでした。
終わるやら続くやら。。。