復刻版:わかるまでカルマ(トレッキング編)
トレッキングという言葉すら知らず、どーしようもなく遠足なノリで
参加してしまったワタクシ。。
地図を見せてもらっても意味もわからず(英語もわからず)、
取りあえずついて行くしかない。
彼らの最終目的地は「ベースキャンプ」とやらで、
聞くだけでワタクシのような各種未熟者には無謀な場所に感じました。
でも、何とかなるよね(限りなくそれだけ)
甘かったっす。
登山をなめておりましたす。
早朝から、スタート地点の山里まで(ってネパール自体が山里ですが)大型トラックの荷台で現地人さんやチベット人さん、ヤギ、羊、ニワトリなどと風に吹かれて移動。
日本では不可能な荷台乗りはこのトレッキングで一番楽しかった(歩いてないし)
で、まあ晴天にも恵まれ、るんるんるんとトレッキングは始まったわけでした。
世界の風光明媚大自然カレンダーでよく見る様な広大で手つかずの美しい山道を
歩く歩く
歩く歩く
息を吸うたび清められ、息を吐く度に自分の中のいらないものが出て行く。
大自然の奥地へ1歩1歩近づく度に、全ての美しさの中に己が消えて行く。
ああ、神よ。
私みたいな者を迎えて下さってありがとうございます。
心は勝手に清められ、畏敬の念で満たされていく。。。。
でもね。
昼過ぎ辺りからでしょうか、どんどん前方のメンバー達との距離が離れていく。
息も上がってきて、足も重い。
高山ってこともあるのか、頭の中まっ白で思考回路停止。
歩くんだ。
歩くんだわたし。
がんばれ私。
くじけてくれるな私の身体と心。。
でも、日頃の運動不足で軟弱なオイラの身体は
「もう歩けましぇん~~~」
後悔と反省の雨風が自己嫌悪の嵐となって心まで責めて来る(おおげさだわ)
負けるな!オレ!(気持ちは男子)
もうそろそろ一日目の目的地ガンドルック村(標高2060m)に近づく頃には
体育会系のみんなの姿は全く見えなくなって、
杖がないと歩けない状態で(イヤほんと、杖ってすごい)
我が身の情けなさに泣きじゃくりながら、ひとり黙々と自然礼拝しながら登ったわ。
いい経験でした。
流した涙は私の中の弱虫軍団。
重たい身体から抜け落ちる体力は私の中の怠け隊。
涙も枯れ、もう体力の限界ってとこで
道の真ん中に突如、縦幅2m以上の大きな岩が壁のように立ちはだかっとる。
しえええええ~~~~~~~~~~
???なんの?なんの?罰ゲームですかああああ
どこをどー見ても、その私の身長以上の巨大な岩を登って超えていくしか
道はない。
迂回路は断崖絶壁。
ふおおおおおおおおおおお(声にならない)
だあああああああああああ(また泣き)
ふええええん(へたり込み)
このつるつるした岩を登れっちゅうんですかい。
元気でも無理ぽ~~~~
しかし、登らねば!
登らず死ぬより、登って死のう(おおげさだけど、帰るに帰れんし)
あ~~、でも身体がついて来ん。。
それでも果敢に挑んでいたら(泣きながら無駄あがき)
岩の上からコリアン君が手を伸ばして
「ガンバレ!アトスコシ!」
ああ~~あんにょはせよおおおお
ここでがんばらなかったら、人間が廃る!(帰るに帰れんし、前進するしか道はないし)
なんとかかんとか必死のアガキで引きずり上げてもらった。
ホッとするのもつかの間、またもそんな岩が2つ程続き、
心配してわざわざ引き返してくれたコリアン君に怒濤の感謝。
カムサハムニダ伝えたいけど声も出ず。
最後の体力の1滴までも搾り取られた。
かくかくかくかく~~~
ぷるぷるぷるぷる~~~
膝も腹も筋肉と骨が笑う。
日もとっぷりと暮れかけて、
死ぬ思いで到着したガンドルック村からいきなり目の前に広がった
アンナプルナ内院(6000m~8000m級)の銀色の山肌は、
自分のちっぽけさのそのまたカケラすらも吹き飛ばすほど
神々しく、偉大で、
何の力も残ってない私の肉体の奥から
感謝と生きて行く喜びのパワーが、
間欠泉のように体中に吹き出していった。
うおおおあああああああああ
自然に叫んでしまった。
ありがとう。神様。合掌。
あまりの雄大さと美しさに。
山すごい。
ヒマラヤ偉大。
身体中の痛みと震えがぴたっと止まった。
喜びと感動のみだった。
銀色から夕日で金色に変わりゆく、アンプルナ連峰を眺めながら、
人生初の達成感という至福に包まれました。
登山好きの方ならなんちゅう事ないコースなんでしょうけど、
私にとったらエベレスト行ったくらいの大峠でした。
で、とっくの昔に到着して、体力も余っている他の皆さんが早々とゲストハウスで
夕飯タイム。
私は疲労困憊で白湯しか喉を通りませんでした。
しかも、余裕シャクシャクの皆さんは登山中から皆親しくなり、
英語で楽しくミーティング。
どーやら私の驚愕の遅さが問題のようで(こんな時だけ何となくわかる英語)。
この体力も英語力も並み以下のジャパニーズガールは、
旅は道連れになってる日本人女性の急に冷たくなった態度でますます孤立。
イタリア人のおっさんに至っては、お荷物を見る様な眼差ししかなかった。
とほほほほほほ
皆の笑い声が遠く聞こえる。
体力なくて泣いたけど、今度はみじめさで泣きそうだ。
星空がうそのようにきらきらしてる山間で、
山犬の遠吠えを聞きながら
闇夜に浮かび上がる白き山々に向かって、
私はここに残って、皆を待ってます。
と明朝みんなに伝えようと(身体中を這うノミの感触におののきつつ)決めた。